泡沫の20ユーロ
はてなブログを書き始めて一年近く経つが、最近になって新しい機能があることに気がついた。
編集画面の<NEW>欄に”お題スロット”というタブがある。(おそらく前々からそこにあったのだろうが、今日の今日まで気づくことがなかった)
何やら良くわからぬまま押してみると、以下のような文字が。
なるほど、これをテーマにして記事を書くのか。
というわけで、今日は「ちょっとした贅沢」という内容でブログを書いていく。
今現在、出張でスペインにいるわけだが、この国で僕はちょっとした贅沢をしている。というか、現在進行形での贅沢だ。
僕は今、スターバックスにいる。
上の記事は数時間前に書いたもの。
これに書いたとおり、ホテルのワイファイがあまりにも通じないため、わざわざスターバックスに来たのだ。机にはPCとキャラメルフラペチーノを置いて、優雅なお昼を過ごしている。
さて、このキャラメルフラペチーノ、値段は4.3ユーロである。
今の換算で考えると、およそ500〜600円なわけだが…これほどまでに「ちょっとした贅沢」に該当するものがあるだろうか?
スペインに出張に来て、オフの日に外を観光するわけでもなく、スペイン料理を食べるわけでもなく、日本にもデフォで置いてあるキャラメルフラペチーノを涼しい室内で悠々と飲む。
完璧だ。
これ以上ないくらいの「ちょっとした贅沢」である。
だが実は、今この状況下においては、これは「ちょっとした贅沢」ではない。
スペインでおよそひと月を過ごし、残り1週間ほどで帰国予定である。
そんな僕の財布の中身。
20ユーロ。
スペインに来た時は250ユーロあった金が、今となってはこれだけだ。
実際、ホテルはクレジットカードで支払っているし、現金を使う場面はかなり限られているが、昼飯を食べるようなバルでは、クレジットカードは敬遠される。一食5ユーロするかしないかなので、クレジットカードを使うと店が損をするらしい(ロイヤリティか何かの関係、スペイン語で言われたためよくわからない)。
つまり、僕は昼飯は大体現金で支払っている。あとはスーパーで買う水だったり、主食としているお菓子類も現金精算だ。
これらに金を費やし続けて現在残り20ユーロ。
残り一週間を20ユーロで過ごす。
泡沫の20ユーロ。
一ヶ月一万円生活というのが昔黄金伝説であったのを記憶している。ひと月一万円で生活!そんな設定が面白くてたまに見ていたが、今、僕はこれと似た状況に立たされているのだろう。
なにせ、現金2000円で、一週間を異国で過ごすからだ。
去年の滞在を含むと僕はビルバオには通算4ヶ月ほどいるのだが、かなり出不精なため、地理はほとんど理解していない。ことさら飯屋に関しては情報が少ない。
一日中ホテルに引きこもっている日もあるし、そんな時は大体スーパーで買ってきたポテチを食べて過ごしている。
しかしその生活でも、僕は一日5~6ユーロ程度使っている。
・ポテチ2袋 3ユーロ
・チョコバー2本 2ユーロ
・水1L 1ユーロ
ポテチは大体2袋、チョコレートバーは2本ないと厳しい。
朝ご飯はホテルのがあるとして、昼飯、夕飯にそれぞれポテチ1,チョコ1食べるわけだ。水は一食500mlもいかないが、まあ、一日1Lくらいは消費している。
そんなわけで、僕はスタバで過ごす数時間のために上記のようなだらだら生活の一日を使ってしまったわけだ。薄暗い部屋に帰ると、もう僕には摂取できるものが水くらいしか残っていない。
いや、冷蔵庫の中にスーパーで買ったピクルスが残っていたことを思い出した。
だめだ。
僕はピクルスが好きではない。
買った時に「何故僕はピクルスを買っているんだろう」と思いながら精算したのを覚えている。ちなみにこのピクルス、結構大きめの瓶に色々入っていてたったの2ユーロ。お買い得商品である。
まあ、ピクルスが嫌いな僕には関係のないことだが。
結論。
僕は今日摂取するものをなくしてしまった。
ちょっとした贅沢は、時に命に関わることがある。
この贅沢は続けてしまえば身体を壊してしまう。周囲から見ればささやかだが、僕にとっては、贅沢過ぎる贅沢だった。