るなてぃっく野狐

野良狐がゆっくりと錯乱していく

未来へと繋がるブーケトス

二十六という年齢になると、周りが「結婚」で賑やかになり始める。顕著に見られるのがフェイスブックで、「〇〇の結婚式に出ました」とか「〇〇が〇〇と婚約」という他人のライフイベントが、タイムラインに表示されるようになる。他人の羨ましい人生に、僕は画面越しに「けっ」とふてくされるわけだが、ある投稿を見てから、僕は結婚式に底知れぬ闇を感じることになった。

友人の投稿には「未来へと繋がるブーケトス!ブーケは〇〇の手に」と書いてあった。

そう、ブーケトスである。受け取った者が次に結婚できる、そんな神話がこのブーケトスという儀式には存在する。まさに未来へと繋がるブーケトス、なわけである。

ふと思う。もしもブーケを受け取った人が結婚しなさそうな人だったらどうなるのだろう?と。冷静に考えれば、これは非常に恐ろしいことである。なにせ、ブーケを受け取ったものが「次」に結婚できる人なのであれば、その逆もまた然りで、ブーケ受取人が結婚しなければ、その会場にいる他の女性たちの未来も一緒に消え去ってしまうということだからだ。

例えば僕が女でブーケを受け取ったなら、まず周りの人に謝罪の言葉を述べる。「私、結婚する気はないの。あなたたちの人生も台無しにしてしまってごめんね。ブーケの奇跡はここで終わりよ」そう言ってブーケを燃やしてしまうかもしれない。まあそんなことをする勇気はないし、そもそも僕は女ではないので大丈夫だが、上記のような「結婚願望のない人」がブーケを取ることは、事実として、あり得る。こういった状況を考慮すると、結婚式に向けて、女性たちは水面下で激しい戦いが繰り広げられているのではないかと思い至った。彼女たちは戦士なのだ。私利私慾はもちろん、その場にいる他の結婚願望持ちの女性のためにも彼女たちは戦わなければならない。僕(野狐)の女狐バージョン(八子)に焦点を当てて、彼女たちの争いがどんなものか、見てみたい。

 

第一段階:招待状【軍編成】

それは結婚式の招待状が送られた日から始まる。招待状が来たその日の夜、結婚願望の強い八子はベッドの中、携帯で花嫁に連絡を取る。
「えー花嫁ちゃん結婚するのー!おめでとうー!」
「ありがとう、八子ちゃんはこれる?」
「うん、私いけるよ!あ、ねぇねぇ、他には誰が来るの?」
「えーとね、狸子ちゃん、ハム子ちゃんに、あとは大学の部活メンバーが中心かなぁ」
「へえーそうなんだー。え、狸子ちゃんって、あのパソコンのクラスで一緒だった子?」
「そうそう!彼女も来てくれるってさー」
「そうなんだ、あの子、あまり結婚願望なさそうだけどねぇ」
「え、どういうこと?」
「ううんこっちの話!りょーかい!ありがとうー!」
この時点で、かなりの情報が手に入る。ブーケトスの戦場に誰が現れるのか、その中で八子は自分の味方につけられそうなもの、敵となりそうなもの、そして敵の敵にもなりそうな人が誰かを整理する。上記の会話の場合、狸子ちゃんが全員共通の敵である。なぜなら彼女は結婚願望がなさそうだから。
早速、八子は狸子ちゃんに連絡を取る。結婚願望の強い八子は久しぶり、という狸子の台詞を遮って「狸子ちゃん、結婚式でブーケトスは出ないでね」と言う。そして、切る。決していじめではない。八子は、それが狸子ちゃんのためにも、他の子のためになることも知っているからだ。さらに、他の参加者にも電話をして確認作業を進める。自分と仲のいい子、従ってくれそうな子、彼女たちの恋愛事情をひとつひとつ把握し、自らにとって有利に進むよう、派閥を形成する。そして、敵の布陣の予測を立てる。

 

第二段階:二次会の打合せ【潜入捜査】

二次会の出し物担当になった八子は、他の女性たちと事前に打合せをすることになった。打合せの参加者には、可愛いがよく知らない子が二人くらいいるもの(だろう)。八子は早速、味方につけた後輩に指令を出す。
「テーブル端にいる栗色ボブの女性に接近せよ」
従わざるを得ない後輩は、栗色ボブの女の子の隣に座る。出し物について話し合いをする中、後輩は、何気ない会話を発展させ「栗色ボブに結婚願望はあるのか、彼女の派閥は何人体制でブーケトスに挑むのか」を訊き出す。ここで八子が先陣を切ってはいけないのが、彼女にとって歯痒いところである。直接情報を引き出せれば情報の信ぴょう性を自分で判断できる。しかし、出てしまえば、敵に自らが主犯格であることを悟られる。あくまでここは、スパイの出番なのだ。従える彼女が寝返らぬよう、報酬についても頭を悩ませなければならない。
潜入捜査で仕入れた後輩の情報を元に、敵の内情を探り、さらに敵を視認することができる。当日のアクシデントに備えるため、準備を怠ることはできない。勝負は、始まる前に既に決していると言っても過言ではない。

 

第三段階:挙式当日の受付【奇襲】

作り上げた布陣の調整は、この段階で終わる。八子は受付にべったりと張り付きながら参列者全員の表情を見て、ブーケトス参加者の意気込みを確認する。敵陣のリーダーと目があうと、それまでにこにこ顔だった八子は戦士の目に変わる。これは、相手も同様だ。さらに余興の時間では、自分たちが従え、育て上げた戦士を披露し合い、優劣を競う。ここで侮ってはいけないのが、第三勢力の存在である。どの派閥にも属さぬ、戦いなど露も知らぬという存在。第三勢力にブーケを取られてしまっては、八子も、彼女の敵も、全く未知の未来に踏み入れることになる。第三勢力がいたとすれば、各派閥はこの瞬間だけ共闘し、酒を持ってはつぶしにかかる。

 

第四段階:ブーケトス直前【武器放出】

ブーケトスでは「え、私!?」という、偶然にも取っちゃった感を出さなければならない。これは公式ルールブックの第34条第4項にも記載されており、この演出がなければ、ブーケトスは無効扱いとなってしまう。故に、彼女たちはブーケを投げる花嫁の後ろで、あからさまな殴り合いをすることができない。そこで、彼女たちは針を用いる。ハンドバッグの中に仕込ませたそれを、敵陣に当てるのだ。仲良くおしくら饅頭しているように見えて、その実、そこにあるのは針地獄なのだ。八子もまた、痛みに耐えながら、他の戦士に針を突き刺す。

 

第五段階:ブーケが花嫁から放たれた【そして、未来へー】

花嫁がブーケを投げる瞬間、新米戦士は我先にと手を挙げてしまう。それまでどこかの派閥に所属していた戦士でさえ、花束の魅力にはあらがえない。八子にとってみれば、だが、それも想定内である。バッグではなく、人差し指の爪と肉の間に仕込ませた針で、手を挙げた他の戦士の二の腕に素早く指を当てる。「いたいっ」我に返った戦士たちは、指された腕を降ろし、逆の手でそこを押さえる。これで彼女たちに、ブーケの未来はなくなってしまう。
ほとんど全員がこれで離脱してしまうが、それでも残るのはやはりリーダー格だ。他のリーダーも、アイシャドーの先っぽで視界を奪ったり、鏡による太陽光の反射、スパゲティなどの縄を使って他勢力、及び裏切り者を排除していく。こうして生き残った数人の猛者は、ブーケを我が元に降らせようと、眼光から念力を発する。ブーケが投げられた直後、彼女たちはその立ち位置から動いてはいけないため、最後は念力の戦いなのだ。だが、念力には多くのエネルギーが必要である。体力を使い果たした各派閥のリーダーたちは一人、また一人と倒れていく。尚も宙で左右上下不規則に飛ぶブーケは、花びらをぱらぱらと舞わせる。最後には、猫組の大将明美と八子の一騎打ちとなった。二人の体力はとうに限界を超えている。己に帰ってくる最高の未来が、かろうじて意識を保っていられる理由だった。先に倒れたのは、猫組の明美だった。最後の力を振り絞りながらも、八子は、ブーケを手に入れた。
こうして、戦いの歴史は幕を閉じる。だが、新たな未来という名の戦地が、また、八子の手から始まるのであったー

 

友達の結婚式に出て、ブーケを受け取った子がいた。ちょうどよいので「実際のところどうなんよ」と聞いてみると「そういうのは一切ないよ」という、シンプルな答えが返ってきた。

よかった。

日常から乖離した不自然ワードはこういう時に使う

月曜日が祝日だと、とても幸せな気持ちになる。

今日なんてそうなのだが、今日は仕事に出なければならなかった。せっかくの幸せが台無しである。むしろ、それは、より深い絶望となる。社長と二人でやんややんや言いながら、資料がひと段落したために一旦帰ることに。スペインからの資料を待つため、今日の夜、また会社にいかなければと思うと一層、気が滅入る。

そんなわけで、日中はせめて楽しくいたいと思い、昼飯は少し豪勢にしようと思い至る。

豪勢=寿司、焼肉

という脳内方程式が完成しているため、僕は桃山の商店街にある焼肉屋に入ることにした。

店内に入って、若い、まだ接客にも慣れて居なさそうな焼肉屋ガール(店員)が二人掛けのテーブル席へと案内してくれる。席に着くと僕は、看板メニューとして出されていたカルビ焼肉定食なるものを頼み、それが来るまでの間パソコンで作業をしていた。周りは家族連れが多く、一人の客もちらほらとはいたものの、多分パソコンを開けた瞬間、僕は異質になってしまった。斜め向かいのテーブルに座る5歳くらいの男の子が、僕の方を(正確に言えばパソコンを含めた僕の全景を)眉間に皺を寄せ、口を半開きにしながら眺めていた。

予期せぬ子どもの眼差しに苦笑いを返した際に、彼にあって、僕にないものを僕は見つけてしまった。お茶である。少年及び彼の家族は、全員ジョッキに入ったお茶を飲んでいた。ウーロン茶を注文したのだろうか、そう思って、他の客を見てみるが、彼らもお茶ジョッキがテーブルに置かれていた。なるほど、焼肉屋ガールがお茶を出し忘れただけか、そう確信し、あとで定食が来たらお茶を注文しようと思って仕事を続けることにした。5分くらいして、お盆にのった焼肉定食が運ばれてきた。お盆を置いて去ろうとする焼肉屋ガールの背中に、僕は声をかける。

「あの」

そこまで言って、お茶を頼もうとしていた自分に疑問を抱いた。果たして、この店では本当にお茶がスタンダードなのだろうか?周りの客はウーロン茶を頼んだのではないだろうか?はたまた、飲料に関してはセルフサービスなのかもしれない。お茶と水の選択肢があるかもしれない、丸亀製麺なんてそうだ。

この店は初めて来るからそんなこと知らなくて当然なのだが、お願いをする以上、どんな方向に会話が転んだとしてもスマートに対応できることが求められた気がした。彼女が振り向くまでのコンマ一秒の間に、そうやって僕は抱いた疑問を整理し、発信する内容を言葉に還元した。

「液体ってありますか?」

おそらくその発言に対して一番最初に「は?」と思ったのは僕自身である。「は?意味がわかりません」の「は?」である。口走った瞬間に頭の中で、もう一人の僕がそう言っていた。多分僕が店員なら「は?液体?ここはそういうお店ではありませんが。てかそういうお店でも液体のオーダーなんてないと思うんですが。そういうお店ってなんですか?」などとまくし立てていたかもしれない。でも焼肉屋ガールは優しいからそんなことは言わなかった。彼女は困惑に充ち満ちた表情で、そしてどこか僕に警戒したような表情で、丁寧に言葉を返す。

「・・・・・・はい?」

それは正しい反応である。飲食店で「液体」が客の注文するワードで出てくることなどほぼあり得ない。学生の頃、僕も焼肉屋でバイトしていたこともあるから分かる。あの当時、店内で液体という言葉を聞いたのは、恐らく店長の「トイレ掃除の時は、この液体を拭きかけてから中を磨くようにね」発言くらいである。もしかしたら店長は、液体とまで丁寧に言わず、青い液体の入った容器そのものを指さして「これ」とか「あれ」とか言っていたかもしれない。そうなると、焼肉屋でバイトしていた僕にとっても、液体というのは日常から乖離した不自然ワードのひとつである。

そう、液体という単語は、物質としてはありふれている。だが、液体を液体と言うことは、僕らの生活の中では、実は稀なのだ。それは何故か?それは、液体が定義しうる範囲が広すぎるからだと僕は思う。例えば、目の前に差し出されたお盆にある味噌汁も液体である。僕たちの身体に流れる血も液体だし、あの美しいナイアガラの滝だって液体だ。さもすれば、他の惑星にも液体は存在する。「液体」は、液体たりえるもの全てを包括してしまう。そこまで偉大なる存在を、日常の一コマで使ってしまうと、それは場違いもいいところだ。液体という単語は、俗世に生きる僕らが使ってよい単語ではない。液体は、こんな会話に使われるべきである。

 

神A「世界が構築できた」
神B「素晴らしい偉業を成し遂げたな。いやはや、大したものだ」
神A「ところでどうだね、何か、足りない要素はないかね?」
神B「もはや私に言うことはない。この世界は完璧だ。・・・おや、あそこで蠢いているのはなんだね?」
神A「ああ、あれは鹿という生物だ。どうだ、可愛いだろう」
神B「ははは、そうか、鹿か。・・・・・・あの生き物、ちょっと気味が悪くないか?」
神A「なんだと!? 貴様、この雷の槍で貫いてやってもいいのだぞ!?」
神B「落ち着いてくれ。いやはや、可愛いのは事実だが、蠢くのはどうかと思う。ほら、わしらは元気なのにに、あれは死にかけているではないか」
神A「なるほど、確かにそうかもしれない」
神B「それに、この世界、確かに物質には満ちあふれているが、何か生気を感じない」
神A「やはり貴様、この雷に貫かれたいか!?」
神C「逆ギレはやめようぜ」
神A、B「神C!? おぬし、生きていたのか! よく神々の戦争を生き延びたな!」
神C「ああ、俺は、こいつに救われたんだぜ」
神A「なんだね、それは?」
神C「まあ、見てなって。あの鹿とやらに、こいつをちょっと垂らしてもいいかい?」
神A「おぬしがそう言うのであれば・・・しかし、責任はとりたまえよ」
神C「任せな。こいつをちょいと垂らせば・・・ほら、元気になった!」
神B「おお、すごい、これは奇跡だ! ときに、神C、それはなんという物質なのだ?」
神C「これかい? これはね、液体って言うんだ。全ての生命が、より活発になる物質さ」
神A「液体、か。神C、ありがとう。君のおかげで、あの鹿は断然可愛くなった。どうかね、その液体というの、この世界全体に振りかけてはくれないかね?」
神C「お安い御用さ。そら! あっ!」
神B「ああっ!世界の半分以上が液体に覆われてしまった!」
神C「神A、ごめんよ、つい、手が滑ってしまって・・・」
神A「いや、構わん構わん、あれはあれで美しい。そうだな、あれは海と名付けよう」

 

「あ、飲み物とかって、ありますか?」

そう言うと焼肉屋ガールは、忘れてましたと言わんばかりに頭をぺこぺこと下げながら普通にお茶を持ってきてくれました。

みかん至上主義を謳うバナナ教信者

大学時代、僕は英語研究会というサークルに入っていた。ESSと呼ばれるこのサークルは大概どこの大学にもあって、それは僕の大学も然りだった。母校では、ディスカッション、ディベート、そしてスピーチに部門が分かれていた。僕はスピーチに所属していて、学生の頃は英語のスピーチを作って、他大学の子たちとスピーチの大会に出て競い合っていた。縁あって、今もこういった大会に出させていただいている。ただ、話者としてではなく、審査員として。色んな大学で開かれる大会、その審査員席に座り、学生たちのスピーチを聞いては点数をつけているわけだ。

ちょうど土曜日に、関西の大学主催の大会に出たのだが、神戸だったため、車で行くことにした。せっかく車で行くので、最近仲良くなった母校の後輩も呼ぶことにした。高身長でイケメンだが、決して嫌みな感じがすることもなく、まあなんというか、気の利く後輩、という感じのやつだ。京都駅に少し早めに到着した僕だったが、彼はそれより前についており、送迎口でスムーズに乗り込んでくる。

「あ、お疲れ様です、ありがとうございます、車出してもらって」

白い歯を覗かせて彼は言う。本当に絵に描いたようなイケメンである。

「ええよー、ほな行こか」

そう言って僕は車を発進させた。大学までは2時間ほどかかるが、人に揉まれることもなく、ストレスがない。彼がいなかったにせよ、車で行くことは決定していたし、その道中、馬鹿なことを言い合って笑い合える彼がいて本当によかった。電気自動車に対して「うわぁ、これ全然エンジン音ないですね」とか、僕が事前に読んで批評した原稿を見て「うわぁ、こんなにコメント書いたんすか、すげぇ」とか「なんか書き立てのコメントって貴重ですねぇ」とか、いろいろな話題を見つけては、彼は感動していた。

さて、会話が一巡りした頃、パーキングエリアも近かったので、僕は彼に聞いた。

「後輩君、朝飯は食ってきたんやっけ?」

「いや、まだですよ、朝が早かったので。野狐さんもまだかと思って、野狐さんの分も持ってきましたよ!」

そう言って、彼は助手席でリュックサックの口を開けた。どうだろうか、普通、こういった時、彼のリュックから何が出ることを予期するだろうか。パン? おにぎり? 男だったらカロリーメイトとか、そういうものだろうか。がさがさとなるので、足元に置いてある彼の鞄をチラ見した。

彼は手にバナナを握っていた。
ちなみにBLネタには流れない。本物のバナナである。

さて。バナナというワードを視認し、さらにそれが下ネタでないことを認識したあなた方に問いたい。あなた方の脳内で、イケメン後輩くんは幾つバナナを持っていただろうか? 彼と僕の分、計二本だろうか。それとも、気の利いた彼は4つ持っていただろうか。

 

正解は二房である。

 

計バナナ10本である。

 

リュックの中から嬉しそうにバナナ二房を出す彼に対して僕は思わず「ふぅあっ!?」と叫んでしまった。僕の分を持ってきてくれたのは嬉しいが、僕は朝食にバナナを5本食べる人間ではない。房から一本もいで「食べますか?」と彼は差し出してきたが、僕は丁寧に断った。

「あのさ、なんでバナナをそんな大量に持ってきたん?」

平静を取り戻してから、何気ない調子で彼に聞く。

「えっ、バナナは健康にいいんですよ」

「いや、それは分かるんやけどさ・・・え、二房やで?それ、俺と後輩君との配分どうなってたん?」

「もちろん先輩は食べる分だけ食べてもらうつもりでいました!」

「余ったら持って帰るつもり、みたいな?」

「何言ってるんですか、持って帰るほどの量じゃないでしょう笑」

発言の語尾に「笑」がついた。これが僕のする卑屈な笑いなら冗談だと思えるが、イケメン後輩くんは屈託のない笑みである。嘘ではない。彼は本気だった。ちなみにこの短い会話のキャッチボールの間で彼はすでに二本目に突入していた。

「え、でも俺が朝飯食ってたら、君一人でバナナ10本食べることになってたんやで?」
「ええ、でもバナナ美味しいんで全然、全然っすよ!」
全然なのか、と思いながら僕は隣に座るイケメン後輩くんが大物の天然くんであることを悟った。イケメンはバナナを食べながら新たな話題を提供してきた。

「いや、バナナも美味しいんですけど、僕、みかんが大好きで」

「ほう、みかん」

「ほら僕、昔タイに住んでたんですけど、タイだと日本にあるあの小ぶりのやつはないんです」

「ほう、そうなのか」彼の会話を聞いている間、だが僕の頭はバナナで支配されていた。何せ隣で10本出してきたのである。その光景があまりにも斬新すぎて、みかんなどどうでもよいと思ってしまった。彼もみかんなど眼中にないはずだ、なぜならバナナ二房も出てきているのだから!「まあ、俺もみかんは好きやで」と苦し紛れに付け足して言葉を返すほかなかった。

「そうですよね、みかん、美味しいですよね!僕の中で、今一番来てるのがみかんなんですけど、バナナがすごい勢いで追い上げてきているんです」
もしそうだとしたら、彼のリュックにはバナナ二房以上のみかんが入っているのではなかろうか?実はバナナの下には、みかんが四〇個くらい中に入っていて、それ以外にも彼の好きな果物がちらほらと入っているのではないだろうか?まさにフルーツの宝石箱である。彼はリュックの中に果物以外の何も詰めておらず、そのため冬なんかも鞄ひとつで生き抜けるのではないか?

冬の公園で鞄を大切そうに抱いて寝る彼が脳裏に浮かんだ。雪の降る中、目を細めながら、かじかんだ手でリュックの紐をゆっくりと解く。その口元は、家を失った者が見せる絶望はなく、逆に、小さな希望を大切に生きている人が浮かべる笑みがある。ゆっくりと手を入れて、愛でるように中をまさぐる。そして出てきたのは・・・バナナだった。

「ごめん、やっぱりバナナしか出てこんわ」僕は彼に謝った。

どうしても僕の脳裏で「鞄からバナナを取り出す彼」が印象に残り、それ以外のフルーツを持つ彼が想像できなかった。みかん至上主義を謳いながらバナナを食べる彼にみかん信者を語る資格などない。彼はバナナ教である。しかも既に一房食べ終わってるし。

会場近くの駐車場に停めてから、少し時間があったので僕らはサンマルクカフェに入ることにしたのだが、その時にはすでにバナナは全てなくなっていた。時間にしておよそ一時間半であろうか。

「ほんまにバナナ好きなんやね」

「ええ、でもみかんが一番ですよ」

その日のどんな発言よりも説得力に欠ける言葉を朝一に僕は聞き、本番での学生たちのスピーチが、説得力溢れるものだと思ってしまった。

あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。

西加奈子さん、「サラバ!」の最終章の題である。本を読むときは何冊も並行して読む癖があるため、この本を読むのに1ヶ月もかかってしまった。

 

あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけない。

 

あらためて、いい言葉である。読み終わってからしばらく、僕は目次を見ながらそんなことを考えていた。

 

最近僕は昼休みになると、隣に座る上司に<運命のくじ>を引いてもらっている。メモ用紙を3つ、時に4つに破り、それぞれに僕が昼休みに取りうる行動を書く。小さく丁寧に折り畳み、コンビニの袋に入れ、上司に「はい」と差し出すわけだ。今日は4つの選択肢があった。

 

1. ラーメン

2. マンナンライフ

3. ブログ

4. 睡眠

 

当然ながら金星はラーメンであるが、言わずもがな26という年齢になると、身体はどんどんスライムのようにぽよっていくものだ。まずここで僕は葛藤する、ラーメンを食べてもいいのか、マンナンライフで我慢すべきかと。そのため、この葛藤の所在を自身ではなく、他人に預けることにした。

ブログも重要な選択肢である。22時まではベローチェで小説を書いたり勉強をしているので、ブログとピアノは実質、夜の時間帯にしかできない。ブログを昼休みに書けば、ピアノを練習し、夜眠る時間もできる。

対して睡眠はより直接的な欲求だ。正直ここしばらく、ろくに寝ていない。昂ったテンションでAmazonを徘徊した結果「ピアノかっけぇー」という結論に至り、3日後には家に電子ピアノが届いていたせいである。何って、もう全然弾けない。弾けなさすぎて笑ってしまう。楽譜を買って練習しようとするもそもそも楽譜は読めないし、両手は同じ動きをしようとする。日本人ならではの集団心理を僕は両手の中に垣間見た気がした。とにかく寝たい。可愛らしい甘えも僕は選択肢の中にひそませた。

 

袋の口を差し出すと、34歳の上司は「っしゃぁ!」と言って、袋からくじをひとつ抜き出した。

「ブログ…ブログってなに?」

彼がそれを引いたため「ブログかぁー」と言って僕ははてなブログを開く。ぎゅるると鳴る腹をおさえ「先輩、これは他のとでも一緒にできるので、もうひとつひいてください」と頼んだ。ブログってなに?という上司の質問を軽く流し、彼に袋の口をまたと向けた。

マンナンライフ…??」

またもやラーメンじゃなかった。おいラーメン!俺と近づけば楽しいことたくさんあるぞ!こっちこいよラーメン!!! と心の中で叫んでから、僕はマンナンライフを一気に搾り上げて飲み込んだ。「終わったので、もうひとつ行きましょう」マンナンライフが胃に落ちる感覚を抱きながら僕はまた、上司の手を袋の中に入れてもらった。

「睡眠」

またしてもラーメンではなかった。4枚のうち残っているのは唯一、ラーメンだった。彼は、最後まで出てきてくれなかったのだ。なんとも悲しい。

カフェの店員にラブレターを渡すつもりで足繁く通うも、書き上げたその日に彼女が辞めてしまうというくらいの悔しさである。

 

僕はラーメンに思いを馳せながら、しかし上司の決めた僕の運命に逆らうこともできず、ブログを書き出した。最初はパソコンで打っていたのが徐々に眠気は限界に、やがて休憩室のソファに寝転びながらスマートフォンで文章を打っていった。

 

「これを書こう、あれを書こう」

色々と文章は思い浮かんでくるも、その実手は動いておらず目も開いておらず、12時59分のチャイムに呼び起こされた。

色々考えながら寝た直後に来る覚醒は身体に悪い。心臓はバクバク鳴っているし、頭もぐわんぐわんする感覚がしばらく続く。これを果たして寝た、ということができるのだろうか?僕は書き上がっていない原稿を見ながらそんなことを思った。

 

いや本当に、結局ちゃんとできたのはマンナンライフを食べるくらいだ。

誰かに決めてもらった人生を歩むことのできる人間は、それはそれで素晴らしいと思います、はい。

 

 

ある夏の夜のことだった。

昔、とは言っても大学4回生の頃の話である。

滋賀に実家があるサークル仲間のけんぢの家に、同じサークルの男4人で遊びに行ったことがあった。彼の実家は郊外にあったため、ものすごく広かったことを覚えている。サークルを卒業する直前の夏のことだった。けんぢの帰省に合わせ、僕らは5人仲良く、京都駅から一緒に彼の実家に向かった。

 

京都から滋賀に向かう電車の中で、一日の予定を確認した。段取りは決まっていた。まず、けんぢの実家に向かい、バンに乗り換える。その後琵琶湖の海水浴場へと繰り出し、可愛い5人組の女の子をナンパ、ゲットしたら帰宅。夕焼けをバックに見知らぬ男女で、BBQパーティをするという計画だった。

・・・・・・この時点でみなさん既に検討はついているだろうが、「男5人組」で海に行く時点で、もはや負けは確定している。

男5人は、つまりその中の半分は自ら女子に声をかけられない男だということだ。僕を含め3人は、サークル内でナンパ師と称される「けんぢ&ちゃん」の功績にあやかろうとしていただけだった。この時点でもう駄目だが、この計画にはもうひとつの欠陥があった。「女子5人組」を海で探そうとしたこと。3、4人ならともかく、5人だと、車2台か、車1台にぎゅうぎゅう詰めで乗り込む形になる。そんな状態になってまで海水浴場に遊びに来る女子オンリーの集団など、もはや居ないに等しい。海に行くときは是非注意して欲しい。「5」は、魔の数字である。

 

それでも、大いなる期待を胸に、僕らは車の中で最高に盛り上がっていた。サザンオールスターズが流れると窓を開けて大声で歌い、「今日は可愛い子に出会う!」と発狂したり、「それをぶち壊してやろうぜ!」と意気投合したりした。海に向かう車中、僕らはとにかく、絶えず叫び声をあげていた。

 

琵琶湖に到着後、ナンパ師、ちゃんはすぐに行動に出た。服を脱ぎながら車から降り、割れていない腹筋とぐりんぐりんの胸毛を堂々と出し、オレンジの海水ズボンで、駐車場からそのまま先陣切って浜辺まで走って行った。よくあの体型で自信を持てるなと思ったが、走る彼の背中は確かにあの瞬間、雄雄しかった。

しかし浜辺で待つのは辛い現実、通りすがる女の子たちに絶えず会話を試みるも、彼は空気のような扱いを受けた。その姿を見て、ナンパ経験のない、けんぢを除いた僕ら三人は既に敗北した気持ちになっていた。結局、けんぢはちゃんと合流しナンパを続け、僕ら負け組トリオは潔く諦め、童心に帰り、浅瀬でビーチボールを使って遊ぶことにした。

二時間ほどして、海の家で休む僕らトリオのもとに、どこからともなくナンパ兄弟が戻ってきた。席に着くなり、けんぢが楽しそうに言う。

「琵琶湖の女子はレベルがたけぇなぁ」

ちゃんもあれだけ振られていたのに、嬉しそうな表情で浜辺の方を見て言った。

「いや、ほんまに半端ない、でもやっぱ可愛い子多いなぁ」

彼の背中には大量の砂がついていた。後から聞いた話、ちゃんは途中でナンパを諦め、砂浜でずっと寝そべっていたのだという。サングラスをかけ、自分の周囲を歩く女性を下から満遍なく、ひたすら眺めていたそうな。それを聞いて、僕はそれまで味わったことのない悪寒を感じた。

「でも、まあ無理やろうなぁ。そもそも5人ってのが無理やん。てかお前らも遊んでないで手伝えよ」

けんぢが言うので、僕らはそれぞれ否定しにかかった。

「いや、無理やろ」

「ごめんやっぱ俺ら話しかける勇気とかないわ」

「お前らほんますごいよなぁ、俺にはあんなことできんわ」

それを聞いて、けんぢは大きなため息をついた。呆れたか?と思ったのもつかの間、彼は顔をあげると空に向かって叫んだ。

「まぁ、でも、男5人でも十分楽しいもんな!ビーチバレーしようぜ!」

これが男同士の友情である。なんと素晴らしい思い出だろうか。

 

その後5人で再び浅瀬に繰り出し、ボールを最大限に活用して遊びつくした。やがて疲れ切った身体を車の中に寄せ合い、帰路についた。往路とは全く逆のテンションで、運転手以外はみな、頭をかくかく、前後左右に静かに揺らしていた。ちなみに、行きも帰りも、運転手はけんぢだった。

家に着くと、けんぢのお母さんがBBQの支度をしてくれていた。開放的な庭(敷地外との境界線がないので、どこまでが庭か定かではない)におかれたテーブルと椅子、そしてBBQセット。ビールを飲み、肉を喰らい、くだらない話で僕らは終始どんちき騒ぎを続けた。いつの間にか太陽は沈んでいて、空をあおげば満天の星空がそこにはあった。しばらく5人で寝転がって、センチメンタルに夜空を見上げることにした。それは誰かが言い出したわけではない、ただ黙って、みな互いのコンセンサスが取れたことを認識していた。僕は酒に酔って意識が朦朧としていたが、多分そんな感じだったと思う。

 

空を見ていると寝そうだったので、顔を横に向けて、近くにあるものを見ようとした。その時、口の中に少しばかりの砂利が入った。ぺっ、ぺっと吐き出したあの瞬間、僕の中で、新しい人格が覚醒したのだと思う。

 

ひと通りのセンチメンタルを各々静かに味わってから、けんぢが用意してくれていた花火セットで、僕らはまた騒ぎ始めた。「絶対に花火は人に向けないように」と幼少の頃の教えなど、誰が思い出せるだろうか。ねずみ花火を互いの足元に投げ合い、ロケット花火を真横にぶっ放し、一度に20本の花火を手に持ってぶんぶん振り回した。そして最後は線香花火で、冷静さを取り戻す。

片付けを済ませてから、順番に風呂に入り、二階にあがった。「客間に5人一緒は狭いかもしれないけど」とけんぢのお母さんは言ったが、布団5枚など余裕で並べられる広さだった。 僕たちは疲れ切った身体を、倒れ込むようにして布団に預けた。

田舎だから、僕らが静かになると聞こえてくるのは外から鈴虫の鳴き声だけだった。人の歩く音も、車の通る音もない。りーん、という鳴き声が数秒刻みで奏でられていて、その狭間には全くの静寂があった。しばらくは、そんな静けさが続いた。

 

だが、しばらく静けさが続いたところで、僕は、自分が全く眠くないことに気づいてしまった。驚くほど冷静に、鈴虫が何秒後に鳴くかを考えていた。

それは、車の助手席でいびきをかいて寝ていたから、BBQで酒に酔いウトウトしていたから、センチを半分味わいながら寝ていたからだった。もう、全く眠くないのだ。そして、そのタイミングで、新しい人格も産声をあげた。隣で眠っているけんぢに向かって、僕は関西育ち小6男子風ボイスで話しかけた。

「あんなぁ、けんぢぃ、あんなぁ」

「・・・・・・」

「なぁ、けんぢぃ、起きてるぅ?」

「・・・・・・」

「なぁなぁ、けんぢぃ、僕ぅ、けんぢに言わなあかんことあんねん〜」

「・・・・・・んやねん・・・」

「あんなぁ、僕なぁ、土食べんねん〜」

「・・・・・・ぁあ?」

「あんなぁ、僕なぁ、土食べんねん〜」

 「・・・んやねん、誰やねんお前・・・・・・」

「僕の名前〜?僕の名前聞いた〜?僕はなぁ、土太郎やでぇ」

「・・・誰やねん・・・土太郎ってよぉ・・・」

「僕なぁ、土食べるから土太郎やねん〜」

「・・・んやねん、勝手に土食ってろやぁ・・・」

「でなぁ、けんぢぃ」

「・・・・・・」

「でなぁ、けんぢぃ」

「・・・んやねんっ・・・」

「僕なぁ、土好きやねんけどなぁ、けんぢも土食べるぅ〜?」

「・・・いやええわ、ほんまにええから、土太郎さっさと寝ろや・・・」

「なんでなん?けんぢ、なんで土食べへんのん?美味いねんでぇ」

「・・・うっさいわ・・・」

「けんぢも土食べぇやぁ。美味いねんでぇ、土ぃ〜」

「・・・わかったわかった、もぐもぐ、はい、土食ったったで・・・」

「けんぢぃ、それ土ちゃうでぇ、おはじきやでぇ〜」

そこでけんぢはキレた。

 

新しい人格を再現させるのにはタイミングが重要だということを知った、ある夏の夜のことだった。

自己紹介

初めまして、野狐(やこ)と申します。

 

今は京都に住み、昼は会社員、夜は近所の商店街にあるベローチェでパソコンを開き、ひたすら文字を書いている、客観的に見れば「あの人なにやってんだろう?」な26歳の男です。

 

さて、初めての日記を書くわけですがー

「初」はいつも、唯一まともにしていられる瞬間です。初出勤、初海外旅行、初来院、初体験、初夢…挙げればきりがないです。

人生初のブログもまた例外なくまともでありたい!だからまともに書かせてください。まずはブログの歴史を振り返り、その中における自身の介在意義を<中略>すいません。ブログは「読者が介入できる空間」だと僕は思っています。なので自己紹介は、読者から「こんな質問が来そうだな」を質問形式にしてみました(妄想)。他に気になることがあれば、どうぞ質問してくださいね。

 

Q.何故ブログを書き始めるに至ったのか

自分が書いた文章で、読者の価値観に影響を与えたいからです。これまで生きてきた26年間で出会った全ての人に、僕は影響され、今に至っています。ひいては人は誰しもが周囲の人間の価値観を変えていると僕は思うのですが、文章として想いを残せば、もっと多くの人の心に触れることができると僕は思っています。

僕の書く文章、その影響の善し悪しは読者の判断になりますが、少しでも文章を研ぎ澄ませ、良いものを書ければいいなと思っています。そのためには、自分が何を思っているのか、どういう思考回路なのか、それが他人からどう受け止められるか、他者の価値観はどうなのか…これらがまずは必要だと思っています。これがブログを書くに至った経緯です。

 

Q.ブログのコンセプト

脳内のカオスをほどよいあんばいで表現する。

曖昧ですが、多分これです。日常で友達と会話をするときも「なんでその思考に至ったんだ」と言われることが多いので、脳内で繰り広げられるカオスを文字に起こすことによって、それがただのカオスではなくしっかりとした論理展開が存在していることを伝えられればと思います。

 

Q.尊敬する人物

ソクラテス。これは就職活動している時のエントリーシートにもよく出てきた質問でした。そのたび、「ソクラテス」と書いていました。何がすごいって、彼の教え方です。

相手の意見をいったん全て受け入れてから、説明させて、そして矛盾を見つける。今のビジネスでもある種の教授法として確立していますが、つまり相手に説明させ、考えさせることで、その人が間違っていた、ということに気づかせているわけです。「君の考え方は間違っている」と言うのではなく、さらにはそれが間違っていると確信もせずに、対話の中で真実まで相手を導く。素晴らしいことです。

 

Q.野狐(やこ)の名前の由来

近所に伏見稲荷があって、油揚げが好きだからだけではありません。

まず、先の質問に対して追記ですが、僕はどちらかというとソフィストです。言葉を武器に自分を優位に立たせる。仕事もプライベートも、言葉が僕の生きる要となっています。しかし、自分でもたまにその主張が間違っていることに気づいています。

野狐(やこ)という名前には、自省の意味が含まれています。

野狐は文字通り<野良の狐>を指しますが、妖狐の一種としての意味もあります。

善い狐を「善狐」、悪い狐を「悪狐」、そして善狐の中でも位があがっていくに連れて仙狐、天狐、空狐、と名前が変わっていきます。野狐は、この中では、どの分類にも属さない、最下層の狐です。自分がそうであるという自覚を持ち、常に自分の考えを懐疑的に判断できる生物でありたいという意味も込めての野狐という名前です。油揚げは本当に好きです。

 

Q.野狐はどんな人間か

普通の人・・・?普通の会社員です。驚くほど、普通の会社員です。普通の定義にもよりますが、むしろ変わった人間に憧れる普通の人です。変な人に憧れた結果大学では次のようなラベルが貼られました。

名前を知っている人は「ああ、変態なんでしょあの人」と僕を軽蔑し、話したことのある知人からは「ああ、あの変態ねw」と笑いが付け足されます。友人は「ああ、一見変わってるけど、実は彼、普通やで」と、核心を抉ってきますが信頼する友人になると「野狐は人でもない、野狐という存在」と励ましてくれます。

んん、自分を説明するのは難しいですね・・・相手から見た僕が本当の僕です。ブログの更新に従って僕の人間性は垣間見えてくると思います。是非皆さん、僕にラベルを貼ってください。

 

というわけで、自己紹介を終わります。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。

質問や感想、この日記でも、今後の日記でも、お気軽にどうぞ。

またの訪問をお待ちしております。