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るなてぃっく野狐

野良狐がゆっくりと錯乱していく

”睡眠不足”でA級ホラーは作れるのか

つい昨日知り合いになった女性がいる。

睡眠不足らしい。確かに、睡眠不足だろうなという独特の雰囲気を醸し出しているし、夜行性だから睡眠不足はなって然りの状態である。何通かメールをしている中で、彼女からメールでこんなフレーズが送られてきた。

 

「睡眠不足、そう、常に」

 

それはホラー映画のキャッチコピーのように思えた。無垢な女の子に睡眠不足という怪物が絶えず襲いかかってくる。彼女はその恐怖から逃げようとするが、睡眠不足は彼女を視界から逃がさない。どこにいても、何をしてても、彼は彼女について回る。睡眠不足、そう、常に。

このキャッチコピーは素晴らしい。例えば「睡魔が擬人化して襲ってくる」ならまだ容易に想像が付くも、睡眠不足が襲ってくるのは想像に難い。なかなかにニッチな分野を開拓した、新たなジャンルのホラー映画が出来そうな気がした。

しかし、キャッチコピーに襲いかかる事物そのものが書かれてしまうと、映画のタイトルにインパクトがなくなってしまう。

『睡眠不足 "睡眠不足、そう、常に"』

弱い。たとえタイトルをカナやローマ字に変えても、ぱっとしなかった。どうしても睡眠不足が続いてしまう感が出てくる。深読みする映画評論家であれば「いや、睡眠不足って単語が続いているのはね、ちゃんと理由があるんですよ。睡眠不足になると思考力が低下するって言うじゃないですか、その症状を表現したコピーなんです。うん、これ考えた人はなかなかの思考をしてますよ。それか本当に睡眠不足なんでしょう」とかコメントしてくれるかもしれない。だが、これが京都河原町のMOVIXで上映が決定して、集まってきた若者がコピーを見て同じような反応をするだろうか?

おそらく、しないだろう。コピーを気にも留めず、擬人化した睡眠不足がどんな出で立ちであるかしか想像しない。題名とコピーがそれぞれ相乗的に効果を発揮しなければ、ホラー映画の品質そのものが低下してしまう。

 

余談だが、邦題で『道化(どうか)してるぜ』という殺人ピエロのホラー映画がある。駄洒落で出落ち感満載のZ級ホラーを想定していたものの、実際に見ると内容は呪怨やリングにも引けを取らないA級だった。あれは完全に方向性を間違えている気がする。確かに怖そうな題名にすると他のB級やC級に埋もれてしまう可能性はあったろう。しかし、何故親父ギャグをぶっ込んで来た・・・映画を見終わってぽろりと出た感想はそれだけだった。

 

話を戻す。睡眠不足そのものは、ホラー映画の題材としては十分に生きる素材だと僕は思う。上述の映画のように、出落ちで終わる映画になんてしたくない。睡眠不足という怪物に、みんなに恐怖して欲しい。だから僕は、それぞれの階級に合わせ、題名とコピーを付けてみた。

 

『スイミンブソク "東京全域を襲う悪魔"』
怖さ:C級
概要:残業が絶えない現代社会。東京は新橋、中小零細の保険会社で働く豊田和宏は、この数ヶ月ろくに睡眠をとっていなかった。慢性的な睡眠不足が続くある日、豊田は自殺を決意する。オリジン弁当で最後の晩餐を買い、オフィスに戻る最中、しかし、それは突如として襲いかかってきた。必死に逃げる豊田は、自らがまだ生きていたいということに気づく。果たして彼は怪物から逃げられるのか?そして、安眠できる日は来るのだろうか?東京を舞台にした怪物系パニックホラーの集大成、ここに誕生。

 

『SUIMINBUSOKU "生きてる限り、彼からは逃げられない"』
怖さ:B級
概要:アメリカの北部に、地図にも載らないような小さな村がある。そこは過疎が進む一方であったが、決してなくなることはなかった。限界集落撲滅のため、現地調査に乗り込んだシェリーとアレンだったが、彼らはそこで衝撃の真実を目撃する。"SUIMINBUSOKU"という神を崇める村民たち。八十年間寝ないで生き続ける老婆。そして夜な夜な、二人の泊まるコテージに忍び込む気配・・・。モキュメンタリーとCGを組み合わせた、今までにないサイコスリラー。


A級
『Sleep Deprive "奴らは必ずやってくる"』
怖さ:A級
概要:ハリウッドスターのジェイコブは今日もヤクでハイになる!薬まみれの酒池肉林、彼にとってそこはパラダイス・・・の、はずだった。パパラッチのスクープに全米から非難の的となった彼は一転、地下鉄ホームの住人となった。その頃から、彼は"ある"幻覚症状に悩まされ始める。他人の"睡眠不足"を吸収してしまう特異体質を感じるようになり、ニューヨークの地下鉄を利用する人々の負のエネルギーは一挙に彼に集中する・・・果たしてそれは現実なのか、それとも、薬物の副作用か。鬼才ヤコブ・アンデルセンが、実話に基づく話を生粋のサイコサスペンスに昇華させる。その恐怖は、必ずあなたの元にもやってくる・・・。

 

とまあ、、、こんな感じだろうか。
何気なく書き始めたブログだったが気づけば2時間ほど経っていた。何をやってるんだ、僕は。